しかし、哲学科の研究棟の入口の前で、私の足は止まった。


「私、松本先生と何を喋るの?」


しかも、先生は何処にいるのかすら、分かってないじゃない、私。


今更教室に戻っても、さすがに先生はいないだろうし。


だけど、松本先生の部屋は知らないし。


松本先生は講師だから、多分個室は宛がわれていないはず。


「なーんだ」


これなら龍司君との昼食、断らなければ良かった。


午後まですることないし、どうしよう。


仕方ない、暇つぶしでもするか。


私は咲とよく利用する喫茶店に向かうため、


大学の構内を離れて行った。