「・・・」
私が答え終わると、先生は何も答えず、ただまっすぐ私を見つめていた。
大きな瞳をさらに大きくさせながら。
沈黙が漂う教室。
一瞬にして出来上がる、微妙な空気が居た堪れない。
答えた私はどうしていいか分からなくて、
内心ひやひやしていた。
呆れさせてしまったのだろうか。
何かおかしなことでも言ったのだろうか。
先生から注がれる視線から逃れたくて、
目を泳がせたけど、
先生は中々しゃべらない。
私は耐えきれず、自分から言葉を発してしまった。
「あの、・・・私、何か間違ってたり、変なことを言いましたか?」
私の問いかけに、先生ははっとしたような表情をした。
「いや、・・・いや。実に興味深い答えだと思った」
そう言い終わると、松本先生は他の学生が提出したペーパーを取り出し、
それを読み上げた。
何故かそれは少し不自然で。
あえてトピックを変えるかのような、無理やり流れを変えるかのようだった。
私はさっきの自分の答えを頭の中で反芻しながら、
あてられた学生が焦る様をぼんやり眺めていた。