濡れた髪をドライヤーで乾かしていると、ドアベルの音が響いた。


「あれ、咲」


「あのね、カレーが食べたくて作ったんだけど、たくさん作り過ぎちゃった」


そう言う先の両手には、カレーとごはんの入ったタッパーがあった。


「ラッキー!ちょうど夕食作るの面倒くさいなって思ってたんだ」


ありがとう、と言うと同時に、私はタッパーを貰う。


「咲のカレーって美味しいんだよね」


咲のカレーは辛いけどどこかまろやかで甘い。


「そんなことないよー」


頬を赤く染めて照れる咲、これまたかわいい。


「はー、こういうところを末永先生に見てもらえたら良いのにね」


「・・・へ!?」


咲が大声を出して、まじまじと私を見つめている。


私は普通のことを言ったつもりだったが、


咲の予想外のリアクションに、私も驚いてしまった。


「え、あ、どうしたの?」


「あ、・・・ううん。なんでもないよ。じゃ、また明日ね」


咲はそそくさと自分の部屋に戻っていった。


「変な咲」


私はその後ろ姿を見送って、自分の部屋に戻った。