「それと、さっきの朝の授業での最後の質問」


「は、はい」


う。


やっぱり授業の話が出るのね。


散々だったものなぁ。


何だって英語科にいる私にとって、哲学なんて畑違い。


高校の倫理で愛の種類を調べただけなのだから。


「キミが考える”アガペー”の具体的例を考えておくように」


そう。


さっきの授業でたくさんの質問されたけど、


時間切れでアガペーの具体的例について説明できずにいた所、


チャイムが鳴って終わっているのだ。


でも、アガペーの例なんて。


インターネットで検索すれば出てくるかな。


そう考えている私の頭の中を見透かしたかのように、


先生は声を強める。


「来週までにきちんと自分で考えておくように。


それと論理学を少しでも学んでおくように」


「はい」


私はうなだれるように、頭を下げた。