先生はコーヒーカップを覗き込むかのように俯いていたが、


暫くすると顔をあげた。


「変わっているとはよく言われるが、キミが僕を不思議という理由は理解に苦しむ」


今の説明では理由になっていないのだろうか。


「は、はぁ。でも、別に悪い意味ではないですよ」


そう。


今の自分の”心の色”を見れば、


むしろ褒めているのかもしれない。


それは、少し暗めだった色が、少し明るくなった、そんな感じ。


あくまで感覚の話しなのだけど。


「まぁ、いい」


ふっとまた先生が微笑んだ。


今度は、何だろう。


仮に”愛”の定義で言うならば、


ストルゲーだろうか。


ジーパンに包まれた足を組み替えながら、先生はコーヒーを一気に飲み込んだ。


「次の講義までに具体的に説明するということをきちんと学んでおくように。


いや、キミの場合はそもそも論理学というものを学んでおいた方が良い」


「・・・はぁ」


論理学なんて。


そんな難しいもの学べるわけないじゃない。


私の頭じゃそんなもの独学できるわけがない。





あれ、今のって皮肉、というか嫌味?


でも、何だかどうでもいいや。


何故か今日の私の心は寛容だった。