「どうぞ」


松本先生がコーヒーカップを皿の上に載せて、


私の前に置いた。


「あ、どうも。ありがとうございます」


私は頭を下げつつ、コーヒーに手を伸ばす。


香ばしくて、甘い香り。


あと、・・・あぁ、この前と同じ。


松本先生の隣に座った時に感じた、あの甘い香りも交じっている。


私はコーヒーカップに口をつけながら、


ちらり、と向かい側に座る松本先生を盗み見る。


天然パーマのかかった黒い髪。


くっきり二重の丸い瞳。


鼻はすっと伸びていて、


背も高いし、手足も長い。


服は、・・・いつも大きめのシャツにジーパン。


カッコ良いのか、悪いのか。


良く分からないけど、


こう、何も言わずにコーヒーを飲んでいる松本先生の姿は、


とても新鮮だった。