静かな部屋で、二人きり。


私はサンドイッチをほおばりながら、考えていた。


きっと純粋に急用が入ったに違いない。


でも、この前言っていた「賭け」が気になる。


・・・うーん。冗談だとは信じているし、


末永先生から、あれっきり何か”賭け”について言われたこともない。


だけど。


哲学の教授や准教授なんて他にもたくさんいるのに。


どうして松本先生を呼ぶのだろう。


・・・いやいや、まさかね。


まさかそんな訳がない。


”賭け”を本気で実行させようなんて、


間違ってもそんなこと考えているわけないよね。



きっと、あれは私が松本先生に怒っていたから、


私を落ち着かせるための冗談に過ぎない。


うん、そうそう。


絶対そうだ。






そう分かって少し安心して、ぱっと顔をあげた。


すると、


なぜかばっちりと、向かい合って座る松本先生と目が合ってしまった。







う・・・気まずい。


何か・・・言わないと。



今更ながら、この奇妙な空間にいる現実に私は緊張してしまった。


メドゥーサに睨まれてしまったかのように、固まって動けない。


そしてなぜか、先生は私から目を離さない。





お願い、神様。この変な空気をどうにかしてください!