龍司君は売店まで行くということで、


途中まで一緒にメンストを歩くこととなった。


「今度いつお昼一緒に食べられるの?」


まぁ、末永先生と咲が仲良くなればいつでも一緒に食べられる気はするのだけど。


「そうだなぁ。じゃあ、とりあえず来週で良いかな」


ということは、来週までには何とかしないといけないってことかな。


あ、でも咲も一緒じゃないと嫌だよね


「ごめん、咲の用事も確認しないといけないから、あとでメールするよ」


「え?なんで」


龍司君が驚いたような顔をして、私を見つめてくる。


「え、だって咲と一緒に食べたいでしょ?」


「・・・?僕、そんなこと言ったっけ」


「違うの?」


今度は私が驚く番だった。


「僕はあくまで佳子ちゃんを誘っているのだけど」


爽やかに笑う龍司君。


この爽やかな笑いは、


おそらくこれまで何人もの女子の心をいとも簡単にほぐしてきたのだろう。


「あ、あぁ。そうなんだ」


こうもダイレクトに言われると、少し照れくさい。


私は赤くなった顔を隠すために俯いて咳き込むふりをして、


携帯電話をカバンから取り出した。


「じゃあ、来週ね」


「うん、来週の今日ね。約束だよ」


私たちは、桜並木に差し掛かった。


視界の端には、いつもかすかに映る、1つのベンチ。


あぁ、また誰か腰かけている。


熱くなった頬を冷ますために、他の事に気を紛らわせつつ、


私は携帯電話の予定表に、龍司君との約束を打ち込んだ。