食堂で記入した履修要項を持って、私たちはパソコンルームへと歩く。


そこで5分ほど、ネット上の登録手続を行えば、


履修登録は終了。


咲も私も、ちゃちゃっと終わらせ、


これからどうしようかと喋りながら、パソコンルームを出て、


すぐそばにある、学内の本屋の前を通った時だった。


「あ、末長先生だ」


咲は、そう嬉しそうに言うと、その「末長先生」と言う人のところへ駆け寄って行った。


「・・・」


私は置いてきぼりのまま、2人の様子を遠くで見ていた。


末長先生、と呼ばれたその人は、背が高くて、


髪は、少し長めの、軽いパーマの掛かった茶髪で、


あまり学者っぱくない感じの人だ。


横顔からだけど、切れ長の目に、すっと通った鼻筋を見れば、


顔が端正であることが分かる。


あんな先生、いたっけ。


あんなカッコ良い先生だったら、私も知ってそうなんだけど。


私は、今までの記憶の中で彼の姿を探してみたが、やはり分からない。


一方、咲といえば。


・・・あらやだ、凄く可愛らしい笑顔で末長先生と喋っている。


男とか、あまり好きじゃない、と豪語している彼女にしては、


随分珍しい。


好きじゃないというのは、もしかしたらあの先生が好きだから、とか?


自然ににやけてしまいそうになるのを必死に抑えながら、


2人の会話を待っていると、


5分ぐらいして、やっと咲が帰ってきた。


「ごめんね、待たせちゃって」


「いえいえ。・・・ふふっ」


「何?なんかおかしいことあった?」