「良く知ってるな」


松本先生は、私の目を見て、そう言葉を返してくれた。


その瞬間だった。


朝の教室が、一気に明るくなったような気がした。


外から差し込む太陽の光が、眩しすぎるような感覚を覚えた。


いや、違う。


それは、あくまでただの錯覚なだけ。


そんなのではない。


それ以上に暖かくて、美しくて、眩しかった。


ほんの1秒にも満たないことだっただろう。


これまで、ずっと愛想の無い顔しか見たことが無かったのに。


でも、間違いではない。


愛想の無かった松本先生の顔が、優しく、本当に優しく微笑んだ。


(・・・あれ?)


心の奥に抱えていた、わだかまっている何かが解けたような感覚。


何だろう。


この感じ。


(悪い人じゃ、・・・ないのかもしれない)


窓から差し込む太陽の光が、とても眩しくて、目を細めずにはいられなかった。