もう一度腕時計で時間を確認する。


教室に来て、まだ1分も経っていない。


「龍司君は来るかな~・・・」


拭いきれない不安を解消するために、私は独り言をこぼす。


龍司君の存在が、唯一の救いだ。


龍司君も恐らく、これを取らないと卒業できないはず。


だけど、何度も何度も出入り口のドアを見ても、


なかなか人が来る気配はない。


「はぁ~~~~」


大きくため息をついて、私は机の上に突っ伏した。


腕を枕にして顔をうずめる。


腕で真っ暗になる目の前。


不意に、隠していた眠気が顔を出す。


少しだけ、眠っても大丈夫だよね。


やることもなく暇だし、眠いし。


私は目蓋をそっと閉じた。


顔を出したばかりの眠気が、急激に大きくなっていく。


私は誘われるまま、夢の中に落ちて行った。