がらり、と開くドアの音と同時に、
私の視界に飛び込んできたのは、
あまりにも広々としすぎた教室だった。
私は急いで腕時計で時間を確認する。
確かに、今日は早起きしてしまって、
早めに来てしまったことは間違いない。
しかし、早めと言っても、
今は、授業15分前。
通常であれば、もう誰かがいてもおかしくは無いはずなのに。
「私が一番乗り?」
誰からも当然返事は無い中、私は座るべき席を探す。
恐らく学生が他に来たとしても、
そう多くは無いだろう。
人数を想定すると、
座るべきは、真ん中より少し後ろぐらいが妥当だろう。
そんなことを考えながら椅子に腰かけた瞬間、
再び、がら、とドアが開けられる音がした。
反射的に音のした方に顔を向ける。
後光が差して、直ぐには判別付かなかったが。
「・・・」
その人は無言のまま、私の方を向かず、
そのまま教室の前の方に向かう。
そして。
「15分後、君以外誰も来なかったら授業は無い」
そう言い残して、その人は再び教室を出て行った。
「・・・あ、先生か・・・」
しんと静まり返った教室に、私だけの声が響いた。