素っ頓狂な私の声が、部屋に響き渡った。


「ふふ。僕は君が松本を好きになる、に賭ける。うん、僕が絶対に勝つよ」


自信満々な笑みを浮かべる末永先生。


その不敵な笑みに、私は鼻で笑ってやった。


「まさか。私たちは、当然好きにならない、に賭けます。


絶対に私たちが勝ちますから。高級ディナーは私たちのものです」


言い放った言葉に、先生は相変わらずの笑みを浮かべて反論する。


「さぁて。それはどうかな」


末長先生は立ち上がると、


コーヒーカップを持って部屋のドアへと歩き始める。


「それじゃあ、コーヒー淹れてくるから、少し待っててね」


私たちは二人、先生の部屋に取り残されてしまった。


お互い何かを言うべきであることは理解していたが、


何から言うべきなのか分からず、


ただ互いの顔をしばらく見つめあっていた。