「はは。まぁ、説明は難しいけど、愛想がある方ではないのは事実かな」


私の感情を察したのか、末長先生は、弁解するかのように言葉を続けた。


「彼は、あまり話したことのない人とは距離を置きたがる傾向にあるからね」


「それじゃあ、一生人と関われるわけないじゃないですか」


「でも、僕のように彼に興味がある人間もいるから」


にこにこと笑う末長先生の顔は優しい。


まるで、弟を見守る兄のようだ。


「ああ見えても、彼はとても魅力的な人間なんです」


にっこりと笑う末永先生の顔は、嘘をついているようには見えなかった。


しかし、良い所って、本当にあるのだろうか。


ものは言いよう、短所だって長所の裏返しではある。


そう考えれば、人間、長所だらけだ。


「でも、すごく感じ悪いですよ」


私がそう言うと、


彼は突然、何かを閃いたと言わんばかりに両手を1度軽くたたいて、


嬉しそうにしゃべり始めた。


「1つ、3人で賭けをしてみない?」


いたずらっぽく笑う末長先生に、私は首をかしげる。


「賭け?」


「そう、賭け。君たちが勝ったら、2人になんでもごちそうするよ」


「じゃあ、先生が勝ったら?」


「何でも良いよ。君がしたいことをすれば良い」


それじゃあ、賭けの意味が無いようなきがするが。


「そうだなぁ、期間は3カ月ぐらいにしようか。


3ヶ月後、佳子さんは、松本先生を好きになっているかどうか」







「・・・はぁ?」