咲と別れて自分の部屋へ戻る。


ワンルームのアパートの窓から差し込み始めた夕陽の光がまぶしかった。


ベッドの上に腰かけて、


窓の外を眺める。


都会の街並みと似たようなアパートが並ぶ光景。


いつも見ている光景ぼんやりと眺める私の心は、


いつもとは違う想いを抱く。





愛しい人の瞳を見続けていたはずなのに、


本当はこれまで何を見てきていたのだろう。


愛しい人の背中を追い続けていたはずなのに。


何を追いかけてきたのだろう。







私は、本当に人を愛したことがあるのかな。






生まれて初めて自分に投げかけた問いは、


心にストレートに投げつけられる。


その問いは心の真ん中に刺さってしまって、簡単には抜けそうになかった。




恋って何?


愛って何?




そもそもどうして、2つ別の言葉で表現されているのだろう。





理解できないまま、私の体はそのまま後ろへと倒れた。


ベッドのばねとシーツの柔らかさに包まれながら、


私はひたすら答えの出ない問いを考え続けていた。