お昼を過ぎた大学のメンストは、ほとんど誰も歩いていない。


それを前にして、私と松本先生は、


メンストの脇に立つ、桜の木の下のベンチに座っていた。


1人分座れる、スペースを開けて。


「・・・せんせぇ」


鼻声の私の呼びかけに、先生は少し呆れたような顔をしたのが分かった。


先生は前を向いたままだけど、応えてくれた。


「何ですか」


「私のこと、バカだとおもいます?」


「・・・つまり?」


「裏切られたわけでもないのに、喋ってくれなかったからって、


怒って店出てきちゃったから・・・」


当たり前のことを聞いている私。


あーあ。


ますますバカだと思われるんだろうなぁ。


自分が居た堪れない。


恥ずかしくて、先生の隣ですらも顔をあげることが出来ない。


自己嫌悪ループは底を知らない。


渦を巻いて、


見えない底へと落ちていく。


こういう時は、きっと一人でいた方が良いのに。


どうして私は、先生に「聞いてくれませんか」なんて言ってしまったのだろう。


そしてどうして先生は、そんな私に付いて来たのだろう。


先生は少し前かがみになって、組んでいる足の膝を両手で抱えた。