“論理学トレーニング”を改めて読むと、


依然読んだのに気が付かなかった事とか、


分からなかった事とかが再び浮かび上がってくる。


松本先生がいかに頭が良いのか、


それをとても痛感する。


「・・・はぁ」


感心の溜息を吐きながら、ページをめくった時。


「お待たせ」


マスターがサンドイッチとマルコポーロを持ってきてくれた。


「あー、相変わらず美味しそう。いただきます!」


バラの絵と金色で縁取られた気品あふれるカップに紅茶を注いでいると、


マスターが突然屈んで、私に耳打ちした。


「佳子ちゃん、本に集中して気が付かなかったみたいだけど、


さっき、あっちの席に咲ちゃん座っているよ、しかも男の人とね」


























え!?








私は大声をあげそうになった口を、ぎりぎりセーフで手で押さえた。