「はぁぁぁぁ」


1時間30分にもわたる先生との議論(お説教?)が終わり、


先生はトイレに立った。


ようやく解放されてなんとか口に付けられたチャイは、


乾いた舌に心地よかった。


「ひどいよ・・・。私なんてプロじゃないのだから」


一応論理学トレーニングは読んでおいたつもりなのに、


やっぱり先生との議論は上手くいかない。


『その接続詞はおかしい。逆接の接続詞は1つではない』


『例示の場合、そういうのではなくて・・・』


議論の内容もさながら、


いつものように、接続詞について指摘され、


『キミは、“逆”は必ずしも“真”ではないことを知らないのか』


『つまり、それはあくまで推論に過ぎず、演繹ではない。したがって・・・』


・・・難しいよ。


はぁ、と大きくため息をついて、


私はチャイティーの入ったマグカップをテーブルの上に置いた。


ふと、テーブルの上に置かれた洋書が視界に入る。


そういえば先生、


教室にいるときも洋書をよく読んでいるような気がする。


何を読んでいるのだろう。


トイレのドアを見ていると、まだ先生が出てきそうな気配はない。


私は手を伸ばして、そっと先生が持っていた洋書を手にした。









「・・・あれ」