ソファの席で待っていると、


先生がトレーを持ってやって来た。


「あれ、これ、チャイティー・・・」


先生は私の言っていることを聞こえないふりをするように、


コーヒーをすする。


「まだ私が淹れた方がマシかもしれない」


先生はそうつぶやくと、


コーヒーをテーブルに置いて足を組んだ。


その恰好は、まるで漫画に出てくる社長さんみたい。


「・・・先生、ありがとうございます」


「連休の間に、


わざわざ授業に出てくる稀有な学生に対して授業ができなかったお詫びです」


「・・・お詫び?」


「えぇ。授業に出てくると言うことは、少なくとも学ぼうとする姿勢の証。


私は学ぼうとする学生を拒みはしない。受け入れるかは分からないが」


何だろう。


えーっと、つまりは、


授業を実施できない代わりに、


喫茶店でお茶をおごってくれた、と。


そういうこと?


きょとん、としていると、


先生は少し眉毛をひそめた。


「しかし、ここでも授業内容はできますから」


先生はコーヒーを一口含むと、


尋ねてきた。


「では、前回の続きからですが・・・」












“マンツーマン授業”を実施された後のチャイティーは、


完全に冷え切っていた。