特に言葉を交わすことなく、先生と一緒に歩く。


何かしゃべった方が良いのかな、とは思ったけど、


何もしゃべらないまま、この沈黙の雰囲気も、そうそう悪くはないように思えた。


5分くらい歩いて、メンストを歩き切った先にある建物にたどり着く。


先生と一緒にエレベーターに乗って、


教室のある階に到着した。


ドアが開くと、


先生はそのままさっさと行ってしまう。


(なによ、普通レディーファーストじゃない)


ちょっとムッとしながら先生の後を追う。


私が教室の前についた時は、先生はもう中に入っていた。


開けっ放しのドアを潜って、教室の中に入ると、


いつもと同じく、まだ誰も来ていない光景が広がっていた。





毎回座る席に腰かけ、鞄を机の上に置いた瞬間、


思いがけず先生が、声をかけてきた。


「今日はこちらに座りなさい」


そう言われて指をさした先には、


前から2列目の、教壇前にある席。


「・・・どうしてです?」


さっきの事もあってムッとしていたから、私は素直には従わない。


でも、先生は相変わらず無表情のまま、


「本日の授業は、その方が良いだろう」


と言うだけだった。