「・・・何で言ってくれなかったの!?」
「だって、忘れてたから」
食堂で、恨めしそうな声を出して、咲に文句を言った。
他方、咲は、ひょうひょうとした様子でお弁当を広げている。
「哲学基礎って簡単じゃないの?
いきなり『感情について書きなさい』とか、意味不明だよ!
新入生なんか、終わった瞬間、『履修中止しようね』って言い合ってたし」
そう。
授業が終わった瞬間、騒然とした空気に包まれた。
先生は、終わった瞬間に、教室を足早に出ていき、
教室の中の学生は、合言葉のように「履修中止決定だね」と言い合っていた。
「私も履修中止したい!!」
「・・・でも、できないんでしょ」
「・・・っ」
そう、私は履修中止が出来ない。
一般教養の中でも、いくつのかのジャンルに分かれていて、
各ジャンルから必ず一定以上の単位を取らないといけない。
私は、・・・哲学のジャンルが取り切れていないのである。
「それ以外の授業だと、必修の科目と時間が被るしなぁ・・・」
履修要項を眺めていても、もう変更はきかない。
はぁぁ、と大きい溜息が、自然と零れてきた。