寝ぼけたまま歯を磨きながら、ぼんやり鏡を見る。
すると、ふと、さっきまで寝ている間に見ていた夢の事を思い出した。
そうだ。
松本先生が出てきたんだ。
1泊2日で実家に帰る途中で“論理学トレーニング”を読み込んで、
昨晩その残りを読み切って寝たからだろうか。
夢の中に先生が出てくるとは思いもしなかった。
相変わらず、無表情な顔をしながら。
あぁ。
どうして連休中なのに休講にしないのだろう。
そんなに授業に対して情熱とか無いだろうし、あの人。
「・・・あー、やわひ・・・」
私は急いで口を漱いで、身支度を整える。
電車の時間まであと30分。
適当な服に着替えて、化粧をして。
蓄えてあるカロリーメイトを口にして、私は部屋を出た。
玄関を出た瞬間に感じる5月の太陽の日差しが心地よい。
こんな日はこのまま遊びに出かけたいのに。
そんな恨み言をつぶやきながら、駆け足でアパートの階段を下りて行った。