「じゃあ、そうするか。」

「お、お願いします。」

手を伸ばす。


「幸大。

お取り込み中悪いが、常盤がすぐに来てほしいと言っておったぞ。」


風牙の声で伸ばしかけた手は止まる。


「わかった。

すぐに行く。」

幸大が商品を持ちながら浜辺に出ていく。

「あっ…。」

「残念そうですね。」

「貴様ら、幸大に何をしようとしてたのだ?

まさか、抜け駆けか?」

刀に手をかける。

「正確にはこの楓さんが幸大さんに何かをしてもらう所でした。」

「ほぉ、そうか。

やはり、眼鏡がいけないのだな?

世の男はたかがそのレンズごときに騙されると聞く。

ならば、そのレンズ、真っ二つにしてくれよう。」


「ちょっと、ま、待ってください。」

「そんなことより、彼は何故、常盤さんに呼ばれてたのですか?」

「知り合いらしき奴が幸大を連れて来いと申してな。」

「知り合い、ですか?」

「どんな方でしたか?」


「美人であった。

胸もバイン、バインであった。」

「それは、楓さんよりもですか?」


「うむ。」

「それでは彼も悩殺されますね。」

「真か?」
「本当ですか?」

「二人とも、予想通りの反応ですが、常盤さんが彼を呼んだということは、彼と密接な関係になる可能性は低いですね。」