屋上


「幸大。」

常盤が呼ぶ。


「常盤か。

あいつは?」


「とりあえず救急車に運ばれたわ。

私が救急車を呼んでる間にしてた話を聞いたわ。」

「そうか。」

「獣化。

今回ばかりは私が頑張ろうか?」


「いや、大丈夫だ。」


「…そうね、もし、幸大が暴走しても生徒会の皆は止めてくれるわ。

私は必要ないみたい。」


「俺は暴走しない。

あの時、お前が助けてくれた時から決めてる。」


「そう。」

「だけど、もし暴走しても、お前にも助けを求めたいけどな。」


「ふふっ。

もちろん、任せて。


そうねぇ。

どうぞ。」

膝を叩く。


「まさか?」

何も言わずに常盤が微笑む。




「目を閉じてね。」

幸大の目を片方の手で抑え、もう片方で頬を撫でる。


「幸大は強いわ。

それに私もいる。

さらには仲間もいる。

だから、貴方は自分にも負けない。」



幸大は静かに眠りに就いた。




時同じく、中庭。


「だけど、一体?誰が何のために?」


「粛正だよ。

僕が受けるはずだった。」