「ウワァァァァ!」

身体に火が燃え移り少年は転がる。


「クソッ!」

上着を脱ぎ捨てる。

「だが、失敗だったな。

これは瓶の近くに行かなければただの火柱だ。

近くに来た時に火柱が起きることで最大の威力を誇るのさ。

一気に全てに火を点けるとは愚かだな!」



「どうやら、『風』はお前に向かい吹いてるようだな。」


「そういうことだ!

降参しな!」


「まさか。

この状況で貴様に風が吹いてるんだぞ?

降参なんかしないだろ。」


「は?

馬鹿か?」


「そうだな。

例えば、『風が誰かの意志によりお前に向かう』場合。

火柱はどのように向かう?」


「ハハハハッ、そういうことか。
だが、本物の風が僕に向かうなんてありえない。

今も、風はたいして吹いてない!」



「もう、これだけヒントをやっても逃げないとはな。


言ったろ?『誰かの意志』で風が吹くんだ。


なぁ?

風牙。」


「やっと出番か。」

少年の真上から声がする。


「風よ!

我に集いて、我に従え!



風操、火炎疾風龍!」



火柱がまとまり、龍をかたどる。

「ありえない!ありえない!」