「テレポートを使う場合、テレポート先を把握してなきゃいけない。

が、近くに人はいない。


つまり、奴はずっとあそこから動かない理由はそれだ。


ってことは、」


「奴を移動させればよいのか!」

「風牙!乗れ!」


幸大は両手を組み踏み台にする。

「上空にいくなら、私一人の能力で、」


「馬鹿!上空に投げられたらどうする!」


「そのくらいかわせる!」

「奴の近くでも、上空ならば奴にはダメージが届かずに爆発する場所が多い!


でかいのが来たら終わる!

だから、俺が空に上げると同時に全力で下降しろ!」


「同時に?全力?」

「滞空時間を短くして奴に缶を投げさせるな!


それに、俺が手を抜き、お前が全力で釣り合う!」


「わからんが、行くぞ!」


タンッ、

幸大の両手に足をかけた瞬間、


ブンッ、


一瞬消え、少年の真上からすごい勢いで落下する。


「ハアァッ!」


「クソッ!」


ドンッ、

小さな爆発を起こし、その反動で回避する。



カランッ、カランッ、


何もないところから、缶が現れた。

少年がいた場所から。


「読み通りだな。

ほら。お前のだろ?」

幸大は少年に軽く缶を投げる。