「さて、銃は消え、お前は文字どおりの鉄拳を手に入れた。

てめぇの、正真正銘の鉄拳と俺が固く握った鉄拳。

どっちが上だと思う?」


「この、くそがぁ!」


「神からの制裁だ。

鉄拳制裁!」


ドゴッ、


「クロスカウンターをしたかっただけでしょ。」

「常盤に見抜かれるとはな。」

「誰でも解るわよ。」



「お嬢!

雨が降って来ました!

花火は中止に…」


「その必要はない。


ファンタスティックな奇跡はこういう時に起きるモンだからな。」
幸大が空に手を高く上げる。

パチンッ、

指を鳴らした瞬間。


「雲が…」

雲が弾けとんだ。


「花火は決行だろ?」


「花火は濡れてねぇ、もちろんできますぜ、若頭!」

「誰が若頭だ!」

「姐さんがお嬢の将来の旦那だから若頭と呼べって。」

「…お母さん…」

楓が呆れた。