そこに一人の傷ついた男性がいた。


「どうしたんですか?」

楓が近寄る。

「お嬢、大変です。

花火の打ち上げ会場が…」


「楓の家の奴か?」

「はい。

花火の担当者の一人で、」

「お嬢、早く、皆に」


「おい、誰がやったんだ?」

「最近、この辺で暴れてる若者の集団です。

早く組の皆に知らせねぇと、花火大会がめちゃめちゃに、」


「あんたは動けるか?」

「はい、何とか。」


「じゃあ、あんたは仲間に知らせてくれ。

俺達に任せてくれ、って。」


「あらあら、将来の息子はカッコいいことを言うじゃないの。」


「お母さん!?」

「定時連絡が無いから見に来たのさ。

厄介なことになってるねぇ。」

「大丈夫だ。

俺達が何とかする。」


「そうかい?

でも、雲行きが怪しいからね。

どっち道、中止かも知れないね。」


「その辺も、俺達に任せてくれ。

さて、行くぞ。」

「まったく、頼もしいねぇ。

さて、あんたは祭の本部に行って手当てするよ。」