「ねぇ、射的やろ。」

椿が言い出す。


「どうしましょう?」

「やってこうぜ。」



「圭吾君、あのぬいぐるみイケる?」


「やってみないことには、解りませんね。」


一発、ぬいぐるみに当たるが微動だにしない。

「ふむ、動きませんね。」

「これ、詐欺じゃない?」


「まぁ、こういうのは商品と見せるヤツがあるからな。」

「幸大、僕はあれが欲しい。」

ライカがおやつの詰め合わせを指差す。


「はいはい。」


「さて、じゃあ、撃ち落としましょう。」

圭吾が構える。

「落とせるの?」

圭吾が一発目を全く別の方に撃つ。

弾が他の物に当たり、跳ね返り、ぬいぐるみを狙う。

「これで決まりです。」


二発目をぬいぐるみに向けて撃つ。


二つが同時に当たり、ぬいぐるみが落ちた。


「凄い!

何?今の。」

「計算して撃っただけですよ。」



「ライカ、ほら。」

「幸大、ありがとう。」


「ライカは安いな。」


「ところで、椿さん、これは何のぬいぐるみですか?」


「熊…かな。」

「これが、ですか。」

「まぁ、見た目が可愛いんだから良いじゃない、何だって。」