例年よりも桜が遅く咲いた年―――
受験を終え、第一志望校に合格できた俺は、まだつぼみ程度の桜の木下を歩いていた。
まだ着なれない制服と、学生カバン。
どこか高校生になりきれていない俺は、正直言って童顔で背も163cmと、さほど高くない。
友達ができるかできないかより、中学生みたいだとからかわれるんじゃないかとドキドキしていた。
入学式だから、近くまで友達と母に車で送ってきてもらった。
母も友達のお母さんも、入学式直前に来るらしい。
明日からは途中にある長い坂道を自転車で登るのかと思うと、少し憂鬱になった。
角を曲がると、30m先に目的地が見えた。
ここに来るのは受験の時以来だ。