そして、あたしの耳に
スッと自分の掌を添えて、
内緒話の囁き声で、






「―――桃野さんがいるから。

……に、決まってるだろ」






「え……………?」






今まで聞こえてたはずの
バスの排気音や人の声が、
一瞬にして聞こえなくなる。





そう……

折原さんの言葉だけが頭の
中でリフレインして、他の
音を全部消してしまったみたい。







―――今、なんて言った?




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