「先輩の理想のタイプってどんな女すか?」

数秒間を空けて返事をする
「は?」
ハタチにもまだ満たない男二人の、またどこにでもありそうな会話である。

「いや、急に何?」
と答えたのは『ユウヤ』
19歳。
一応主人公である。

「いやあんまし聞いた事ねーなと思って。特に意味はないっス」
とヘタクソな敬語で返したのは後輩の『ヤス』18歳。
ギャル男街道まっしぐらのチャラ男である。

少し悩むフリをしてから
「黒髪ロングで瞳の綺麗な子」
本当はユウヤにタイプなどなかった。
だが派手で顔がよければなんでもOKなヤスと同じに思われたくなかったので、
ちょっとした嘘をついてみたらしい。

「あーこの前ショートでカラコンの子に浮気されましたもんねぇ」

完全に裏目である。

「ち、違ぇーよ!俺はだなー...」

今更弁明しても遅かった。ヤスは既に、

「やっぱトラウマっスか?確かに先輩かなりイレ込んでましたもんねぇ!いや、気持ちは分かるっスよ?俺も....」

こうなったらヤスの口が止まらないのはユウヤが1番よく知っている。

(あー、どっかにイイ女いねーかなー)

なんて考えながらヤスの白熱トークを100㌫聞き流していた―――