僕は扉を向く。「ウヒ…これを持って行きなさいですよ」
父親ハムスターが小さな体で、その5倍はあるだろう箱を懸命に引きずってくる。僕は受け取った。
「ありがとう。でも、これは何ですか?」
「ウヒ…困ったときに開けるといいですよ」
僕はそれをズボンのポケットに仕舞った。
「それじゃあ、さようなら」
パーシーが肩から飛び降りる。僕はその額を撫でてやる。そして扉のノブに手をかける。少しの間、僕は自分に問い掛ける。大丈夫だ、思った通り何も失っていない。