黒い大きな犬は全身が血だらけで、その体は幾分小さくなっていた。あの頃のような恐怖は微塵も感じさせなかったし、毛色の鮮やかさも失い、もはや「黒い大きな」犬ではなかった。それでも僕には彼だと判った。紛れも無く、彼だと。