「判っていると思うが」
黒い大きな犬が口を開く。
「この車に乗るんだよ」
僕は頷く。だけどこんな闇の中だと僕の頭は上下したのか、自分でも判らない。
「はい」
少し不安になって口にして伝えることにする。今はとにかく、彼の言い付けを素直に聞くしかない。