その時、体に自由が戻る。僕は後ろずさりしながらユウタに言う。
「ユウタ! 僕だよ! 判らない? 僕は君に殺されに来たんじゃないんだ。君を助けたいんだ」
だけどユウタには届かない。彼はゆっくりと確実に、僕の元へと歩み寄る。もう「ユウタ」はそこにはいない。いるのはただ、僕の命をむしり取る悪魔だ。