僕はじっと息を飲んでいた。おばあちゃんも弟もぐっすり眠っているのだろうか。この夜の中に、僕だけが取り残された気がした。
黒い大きな犬は疲れているようだった。じっとその身を伏せて、僕を睨み付けていた。そこにある敵意は、僕に底知れぬ恐怖を与えていた。