僕は手に持った小さな箱の、僅かな光を頼りに進み始める。光は真っ直ぐに奥へと続いているけれど、終着点は全く見えない。むしろ、それがあるのかさえ判らない。
冷たい風が僕の頬を撫でる。熱にうなされた夜に、母が額に乗せてくれた氷水を思い出す。そんな記憶が僕を強くする。