「この部屋…お前が見たいという

願いを聞いた時…俺はお前だけには

此処には来て欲しくないと思った

前に話した通り…この部屋は

俺の処刑場…俺の墓場だから…

…だけどお前に俺の思いを聞いて

もらうために…俺がお前を手放し

お前を自由にするために…俺は

この部屋に来ることを選んだ…

お前を手放すために…そしてそれを

お前に伝えるために…」

兄は泣きじゃくる僕の頬を

血まみれの手でぬぐった

「俺の手じゃお前の涙をぬぐっても

お前が血で汚れてしまうだけだな」

兄はいつもの笑いかたをした

諦めと

自分の愚かさに呆れる

わずかな微笑み…

でもその血は

僕のために流した血なのに