あまりにも近すぎる距離に、ただ、ただ驚くばかり。
だから、唇を塞がれても目を閉じることができなかった。
「先…、ん……んン…っ」
初めてのキス。
それは、一度ならず。
二度、三度と繰り返されて。
戸惑いの制止を求める言葉さえも、塞がれた。
されるがまま。
何もかもが初めての経験で、事態がうまく呑み込めない。
それでも、確かなぬくもりは口唇に重ねられ続けて。
見開いた瞳に熱が込み上げてきてしまう。
「…な、……なんで…」
溢れ出してしまいそうになる水分を我慢したら、情けないくらい小さくて震える声にしかならなかった。
ぐっと白衣の胸元を手で押せば、僅かな距離が開いて口唇から離れていくぬくもり。
その事にほっとした反面、自分で止めておきながら寂しく思ってしまう。
けれど、私は、それ以上に理由が知りたかった。
どうして、先生に抱き締められてキスをされたのか。
その理由が知りたい。
.