「え…」
当たって、砕けるんだと思っていた。
今度こそ、粉々に。
それなのに、これはいったい全体どういう事態なのだろうか。
視界を覆い尽くす白と独特の薬品の芳りに戸惑ってしまうばかり。
◆
「……先生は、私のこと嫌いですか」
何かを決意した強い視線。
それなのに、ゆらゆらと不安そうに見えて。
気付けば、近付いた彼女の体躯を抱き締めていた。
初めて抱き締めた彼女の身体。
華奢なのにとてもやわらかで。
腕に、
胸に、
馴染む体温に愛おしさが募るばかり。
「せ、先生……?!」
されるがまま、大人しく腕の中にいる彼女の混乱したような声音に気付きながらも、離してやれない。
───むしろ、離せない。
責任転換をする訳ではないけれど。
守らなければ平和になど暮らせないモラルと、ぎりぎりのところで均衡を保っていた理性のタガを外した彼女が悪いんだ。
結局は、これも狡い言い訳。
「先…、ん……んン…っ」
彼女に触れる為の───