多少のぎこちなさはあったものの、彼女は俺の所へ顔を出し続けてくれた。
変わらない。
変えられない。
そう思っていたのに、彼女からの告白だ。
それも、二度目の。
◆
逸れない視線。
鳶色の双眸が僅かに見瞠られて。先生の心情を現していた。
そんなに、驚くことですか?
とっくに私の気持ちは知っていたはずですよね?
そう、訊ねてみたい。
「桐生…」
当惑したような、確かめるような声音で呼ばれて、立ち上がる。
どうせなら名字じゃなくて、名前で呼んで欲しいな。なんて、叶いそうもないことを考えながら、ゆっくりと先生に近付いていく。
先生は、動かない。
「……先生は、私のこと嫌いですか」
見上げて訊ねる先には、手を伸ばせば、すぐに触れられる距離に先生がいるのに。
惜しいかな。
逆光で先生の表情がよく見えない。
(……好きなんです、先生が。本当に)
だから、もうはぐらかさないで欲しい。
駄目なら、拒絶して。
先生を諦める努力をするから。