「…ねえ、先生」
声のトーンを落とせば、怪訝そうにこちらに視線を向けてくる先生。
その鳶色の双眸を真っ直ぐに見つめて。
告げる。
「私ね、先生が好きなの」
二度目の告白を。
◆
「私ね、先生が好きなの」
迷いのない瞳で、そう告げてくるのは紛れもない俺の生徒。
生徒、…であるべき存在なのに。
いつの間にか、俺の中の大事な部分を占めるようになっていた。
気になる存在から、
可愛いと思う存在へ。
そして、愛おしいとさえ思う存在にまで育ってきていた。
そんな彼女からの二度目の告白。
一度目は、ただ彼女の気持ちを受け止めただけ。
可愛い生徒がただ近くに居た年上への憧れの気持ちだと勝手に決め付けて。
そして、拒絶しなかったのは彼女が『可愛い生徒』ではなくなってきていたから。
狡い大人の打算。
彼女の気持ちが、俺に残るように。
告白の後も、俺のもとへと来てくれることを願って。