その年の秋雪野は産気づいた・・・

僕は救急車を呼んで産科に担ぎこまれる雪野を心配した

「だんなさんですね」[逆子です」「えっ」「帝王切開しないとだめなんですがもしものときのために、同意書を書いてもらえますか?」「わかりました」

字を書く手が震えた・・・・・雪野を失いたくない子供をあきらめて雪野を助けてやってくれ。

「子供をもしあきらめたら雪野は助かるんですか?」「いえそれは・・・手術してみないとわかりません」

3時間の手術の末、奥から(おぎゃーおぎゃー)と泣く声がした。

雪野?雪野は無事なのか?

医者がすまなそうな顔をして奥から出てきた

産み落とすと同時に雪野は死に絶えた・・・・・・・・・・・・・・

その日、一晩泣いた。

体を悪くしていた雪野に赤んぼなんてムリだったんだ。

喪失感とむなしさでその日は盛り場にいって荒れた。

それから3年の月日が過ぎた、雪野にだんだん似てくる女の子を抱いて

雪野の墓に向かった

「安らかに」君以上の人は居ないからもう僕は誰とも結婚しないよ。