翌朝よく晴れた日、僕は雪野の家を跡にした

さくさく子気味よくきこえる雪の足音。

函館の駅までは近かった。

雪野が送ってくれた・・二人とも別れるのがつらくて何も話さない無言が続いた。

「函館・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・函館・・・・・・・・・」

益鳥が叫ぶ声がこだました。

「もう行かなきゃ」「必ず東京で会おう」「約束だよ」

雪野は目を真っ赤にしながら手をずっと振っていた

雪野の姿が見えなくなるのを確認してから億の通路の荷物置き場にかばんをいれ

どかっと列車のソファに腰掛けた疲れていたのか眠ってしまい

きずくと、もうそこは浜松だった

さっと土産のうなぎを買って戻ってみるとかばんを取られたことに気づいた

あわてて車掌にいいに言った

「かばんを紛失したんですが」「ちゃんと荷物置き場においておいたのですが」

「ああ、かばんなら通路に落っこちていたので拾ってありますよ」

あわてた、かばんや財布の中身は貧しいのでそうたいしたことはないが執筆して書き上げた原稿が詰まってる

しばらくすると「東京・」「東京・・・」「車掌の声が聞こえた」

勢いよく扉が開いて、押し出されるように東京駅のホームに立った。

「かえってきた」