パスタ専門店は2階にあり、外に設置された階段を上がる。ヒールだとちょっと怖い。
会ってすぐだから、彼の腕にはまだ掴まらない。
店内に入ると、女性スタッフが入口近くのテーブルに案内した。
彼の向かい側に座り、メニューを手にした。
「何食べようかな?」
彼はそう言いながら、携帯を開いた。仕事の電話?時間の確認?
何もしずそのまま机に携帯を置く。
私もメニューを覗きながら、今日は白い服だからトマトソース系は止めようと、和風ベースのパスタにした。
彼はシャツの色を気にせず、トマトソースのパスタを選ぶ。
料理が届く前に、お手洗いに行き、鏡で自分の顔を確かめに行った。

向かい合う私はこんなにも楽しそうな顔をしてるなんて。髪を直しテーブルに戻った。

スープが運ばれ、すぐにパスタが届く。
「フォーク欲しくなるよね?」
彼はそう言った。そう、このお店は箸でパスタを食べる。でも、メニューも豊富で好きなんだけど。
「確かに、細かな具は取りづらいね」

彼は笑い、箸を割った。
私は両手を合わせて、小さく頭を下げる。そうすると彼も私に続いた。