外に出ると、4月とは思えない日が、地面が白く照り返す。
待ち合わせの駅をぐるりと散策しながら、メールを送るかずっと悩んでいる。
駅の外には草木を植えてあるスペースがある。急に暖かくなったせいで、花たちがここぞとばかりに競い咲いていた。
スペースの縁を囲うように設けられているベンチには人が腰掛けており、友達同士で楽しそうに話ながら何かを食べている女性たちが目に入る。

「似合わないな」
そんな独り言をぽつり。
こんな晴れた日に、私と彼が会うなんて、場違いな気がする。
着歴から彼の番号を表示し、電話をかけた。

5回もコールしないうちに彼は出た。
『お世話になります、沢辺です』
この口調だと、まだ社内にいるんだな。
「お世話になります、仁科です」
こちらも仕事口調で返す。
『すいません、またこちらからかけ直しますので、外に出られたり、移動されますか?』
「大丈夫」
『はーい、ではお願いします』

電話が切れる前に小さくごめんねと彼は言った。