夜は安心する。
私たちが会って良い空間を作ってくれるから。
日中の明るい中だと、なぜか気が滅入ってしまう。
雨の日にも会いたくなる。薄い光にぼやけて、ほんのり彼の影が見えてしまう。
そうやって私たちは重なれるんだと思う。


外に出るとすっかり暗くなっていた。
エレベーターからずっと手を繋いだ彼は暖かく、ひっそりとした中で唯一の生き物のように感じた。

夜の町もまだまだ明るくて、彼や私を照らしながら、後ろへ流れていく。
彼は眠そうにあくびをする。消えそうな音をしっかり焼き付けた。
その音は流れて消えないで欲しい。
私は彼の横顔を見ては、目を閉じる。