テレビで野球中継が流れる。
「野球好きなの?」
リモコンを握ったまま止まった私に彼はそう尋ねた。
「うー、なんかリモコンの使い方わからなくて」
チャンネルが上手く変えれない。ただ、リモコンが点滅するだけで、画面は無反応。
彼に渡すと、一つずつチャンネルを変えていく。
「何が良い?」
お笑いの人が読者の投稿を再現するバラエティーがやっていたので、チャンネルを止めてもらい、二人でくっつきながら見る。

背中を向け、彼が後ろから抱きしめる。彼の身体にぴたりと身体を合わせて、押し付ける。
彼はゆっくりと私の頭を撫で、首や背中にキスをした。こしょぐったいような、気持ちいいような。
耳に軽く彼の唇が触れる。自分で触るのとも、彼の手で触れるのとも全然違う。
息が漏れ、溢れ出す。
言葉にならない声で、彼に気持ちを伝える。


彼の方へ身体を向け、首元に顔を埋める。
彼は私を強く抱きしめた。
ゆっくりと顔を上げ、彼と目が合う。
どちらからと言うわけでもなく、自然と唇を重ねた。
柔らかな彼の唇が触れる度、私は彼を求める。
彼の背や肩に触れ、次第に腕を掴む手に力が入る。
呼吸を共にするような、瞬きを共にするような、全ての感覚がお互い重なり、そしてずれる度に相手と自分の存在を知る。


彼は照れ臭そうに笑い、私を見つめ、目を瞑る。
「照れちゃって見れないわ」
私より断然大人だと思うのに、照れる姿が可愛い。
わざと近づいて彼の恥ずかしがる顔を覗き込む。上目遣いで彼の名を呼んでみる。
「照れるから、止めて」
照れる彼が好き。
あんまりそんなイタズラをすると彼の反撃が来る。
彼は私の下着を外し、肩紐を片方ずつ下ろす。
そして、優しく彼の手の平で、私の胸を包んだ。
彼は唇で触れ、舌でゆっくりとなぞる。

「お、お風呂入ってから…」
彼はまた笑い、私の頭を撫でると、湯舟にお湯を張りに、部屋を出た。