この言葉を聞いて、
私はすぐに答えた。
『愛しています…』
『良かった…あなたには私と同じ人生を送って欲しくない…あなたには、幸せな人生を送って欲しいわ…あのね?こんな言葉知ってる?』
『叶うと思うから叶う。叶わないと思うから叶わない』
私と百合さんはこの言葉を同時に言った。
少しだけ百合さんは驚いていた。
『この言葉…知ってるの?』
『パパが教えてくれたんです、私が恋に弱気だった時に…』
『優君は…覚えていてくれたのね…嬉しい…』
すると突然、百合さんが泣き出してしまった。
私は思わず、彼女を抱きしめた。
彼女の体は冷たくて、
でもどこか温かい。
『パパは…忘れてなんかないよ?パパね?秘密の場所に来ると、とても悲しい瞳をするの…あなたの事を思い出している…多分…
でも…それはきっと悲しい事を思い出しているんじゃないよ…あなたとの楽しかった、幸せだった日々を思い出しているんだよ…』
彼女の涙は、
何も汚れていなくて、
透明だった…